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asEars: 片耳難聴者を対象にデザインされたユニークなメガネ型デバイス
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asEars: 片耳難聴者を対象にデザインされたユニークなメガネ型デバイス

メガネをかけるだけで片耳難聴者をサポート可能。SXSW でも注目で集めた、学生チームのユニークな発想によるデバイスの開発ストーリーを紹介しています。

by Yasuo Matsunaka
製造 - 2018年12月4日
asEars 片耳難聴

SXSW (サウス・バイ・サウスウエスト) は、テキサス州オースティンで毎年開催される総合イベント。そのトレードショーに東京大学関連のスタートアップやプロジェクトを派遣する「Todai To Texas」(TTT) ブースに展示された asEars は、片耳難聴者を対象にデザインされた、ユニークなメガネ型デバイスだ。

片耳難聴 (一側性難聴) は左右どちらかの聴力が下がった状態の聴覚障害で、日常生活はそれほど不便がないため、周囲はそれと気づいていない場合も多い。asEars のプロジェクトをリードする東京大学工学部 電気電子工学科 4 年の高木健氏も、自身の問題については、これまで親しい人以外には伝えていなかったという。

「片耳が聞こえないことで不便に感じる機会が多く、片耳難聴者向けのデバイスを作ろうと考えました」と語る。「そして SXSW に行く機会が得られる TTT2018 に応募し、5 分間の英語のピッチやデモ展示を行うデモデーで入賞することができました」。

片耳難聴者は、難聴側の音が非常に聞きづらく、音が鳴っている方向が分かりづらい。また周囲が騒がしい状況では、特定の声や音を聞き分けるのが難しくなるという。そうした人に向けたクロス補聴器も開発されているが、意識的に聞き取りやすい場所に移動するなどの工夫を行うことにより、ほとんどの人が片耳難聴者用の補聴器の存在を知らずに生活している。

日本国内で補聴器が必要なレベルの難聴者は全年齢の約 11%、1,390 万人にも及び、その中で片耳難聴者の数は約 500 万人。だが、そのほとんどの人が補聴器を使った経験が無いとされる。高木氏も、このプロジェクトを始める以前は、当事者でありながらクロス補聴器の存在を知らなかったという。

asEars のプロジェクトで筐体・機械設計を行なっている千葉工業大学情報科学部情報工学科の市川友貴氏は、他大学ながら TTT のデモデーを見学。顔見知りだったという高木氏がプレゼンした asEars に興味を持ち、現在は東大工学部の野崎氏ら数名と活動を行っている。

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東京大学工学部 電気電子工学科 4 年高木健氏

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千葉工業大学 情報科学部情報工学科 市川友貴氏

「最初に会った時は、高木さんが片耳難聴だということに全く気づきませんでした。一緒に活動を始めてから知ることになり、いまは聞き取りやすい側から話しかけるようにはしています」と、市川氏。「asEars の話を聞いて、社会に還元できるような、人の役に立つものを作りたいと思いましたし、一番身近にいる高木さんが困っていて、そういうものをほしいという思いにも共感できるものがありました」。

メガネ型へのこだわり

片耳難聴者にとっては、聞こえない音があることからくる心理的な負担と、補聴器を付けることへの抵抗も見過ごせない問題だ。asEars の基本的な仕組みは、聞こえづらい側の音をマイクで拾い、それを聴力に問題のない側の耳に骨伝導スピーカーを通して伝える、というもの。その全ての機能をメガネのフレームに収めれば、通常の補聴器のようにイヤピースを耳の中に入れる必要もないため、見た目も自然になる。

メガネの中に機能を収めるため、まずは高木氏が実際に使っているメガネのモデリングから開発をスタート。3D プリントで作ったフレームの内側にマイクと骨伝導スピーカー、マイコンやアンプのほか、充電池と配線を収めるための開発が始められた。回路設計を行う高木氏は「当初はメガネの中に手作業でエナメル線を通して繋いでいたのですが、配線の難易度も高かったし、音質がすごく悪くなってしまった」と語る。

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レンダリング画像 [提供: asEars]

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手前の最新モデルに到達するまでに様々な形のメガネが3Dプリントで試作された

配線と音質の問題を解決するため、柔軟性を持つ基板の上に銅膜をプリンターで印刷したエレファンテックのフレキシブル基板 P-Flex を導入。電力はもう 1 枚のフレキシブル基板で伝送する、2 層構造になっている。

基板設計には Autodesk EAGLE を使用し、フレームをデザインした Fusion 360 とのシームレスな連携機能を利用。「EAGLE で回路設計した基板を、ボタンひとつ押すだけで Fusion 360 上に反映させられるのが便利です」と、高木氏。「Fusion 360 を軸に筐体データや基板データをクラウド上で共有でき、エンジニア間だけでなく、デザイナーとも連携しやすくなりました」。

asEars は、まだまだ開発途上だ。中でも難しいのが、メガネのフレームに収められた骨伝導スピーカーを、耳の上部の軟骨部分にしっかり接触させる点だという。「ベストな場所が間違いなく耳のあたりにあることは分かっているのですが、個人個人で異なるベストな場所に、メガネをかけただけで当てるというのが難しい」と、高木氏。それにより骨伝導スピーカーの聞こえ方が大きく変わり、音質が悪いという印象にもなるという。「デザインのプレビューは Fusion 360 の画面上で行いますが、装着感の確認には3D プリントを活用しています。自分のベストな場所を探るだけでも、何十というプロトタイプを作っています」。

asEars 片耳難聴
フレーム内にシステムを収納するために EAGLE と Fusion 360 の連携が非常に役に立ったという

現在の目標は、まずは自分の身体にしっかりフィットさせること、また材料と設計を工夫して、落としても割れにくくすることで、どこにでも身につけていける状態にすることだ。その上で、騒がしい場所でも聞きたい音を聞ける、「カクテルパーティ効果」が得られるようにしたいという。

このプロジェクトを始めたことで、高木氏と同様の問題を抱える人が身近にも数多く存在することに改めて気付かされたという。「活動を説明すると、周りにもそういう方がいて、これなら着けてみたいと言われるのがモチベーションになっています」と、市川氏。「片耳難聴用のソリューションを必要とする方に、この asEars をきっかけに、そうしたものの存在を知ってもらえると嬉しいですね」。

著者: オートデスクの International Content Manager for APAC & Japan、Redshift 日本版エディター。
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