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自然に学ぶ: 建築とエンジニアリングのバイオミミクリー
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自然に学ぶ: 建築とエンジニアリングのバイオミミクリー

建築とエンジニアリングの分野におけるバイオミミクリーが、自然の効用や弾力性、美からどのように影響されているか。それを 6 名のエキスパートが語っています。

by Zach Mortice
建築 - 2016年9月8日
PolyThread Pavilion, 2016, by Jenny Sabin Studio. Commissioned by Cooper Hewitt Smithsonian Design Museum for “Beauty—Cooper Hewitt Design Triennial."

デザインや生命科学の世界において、現在最も重要なコンバージェンス (融合・収束) は、百万年以上も存在し続けてきた「イノベーション」によるものだ。

複雑な人間の問題を解決することを目的として、自然のモデルやシステム、要素を模倣することはバイオミミクリーと呼ばれる。建築や製造分野におけるバイオミミクリー (バイオミメティクス、生物模倣などとも呼ばれる) は、自然界に生じるプロセスを模倣、あるいは取り入れたビルや製品をデザインすることを意味している。たとえば、非常に強靭な人工のクモの糸や、ヤモリの足をモデルにした接着材料、クジラのひれを模倣したタービン翼などがそうだ。

アクロン大学と付属バイオミミクリー研究革新センターへ所属する生物学者、ピーター・ニウィアロウスキ氏は「生物システムが問題を解決する方法は、人工システムのそれとはかなり異なっています」と言う。

彼によると、人間がデザインしたソリューションは荒削りで付加的だ。プロセスの反応を促進するには、より多くの材料やエネルギーを使用する必要があり、そのどちらもコストがかさむ。それに対して自然界のプロセスは、独自の形状や材料特性に依存している。

その一例が、ニウィアロウスキ氏が研究しているヤモリの足の粘着力だ。壁をよじ登るヤモリの能力は、背中にバッテリーを取り付け、金属にくっつく電磁石へ電気を送れば模倣できる。だが実際には、ヤモリの足には極細の毛がびっしりと生えており、その毛の一本一本に極小の分子間力が働くことで、壁にくっつくことができるのだ。

biomimicry in architecture
myThread Pavilion, 2012, by Jenny Sabin Studio. Commissioned by Nike Inc. for Nike FlyKnit Collective.

プリンストン大学工学部教授で、バイオミミクリーを研究しているシグリッド・アドリアンセンス氏は、自然は「怠惰で合理的」だと話す。自然は、廃棄物を食物へ変化させることに、とても優れた働きをする。これは生態系の平衡を保つ基本手段だが、建築においては歴史の大半で無視されてきた。

だがデザイナーにとって生物学は、非常に効率的なリソース管理とサーキュラー・エコノミーに関する教訓を与えてくれるものだ。自然はまた、ある種の「批判的地域主義」を実践している。建築は、その場所の地形と文化を反映すべきだという考えだ。たとえば、寄生虫には単一種の宿主としか共存できないように進化したものが存在する。

こうした自然界独自の特性は、長い時間をかけて生み出された。バイオミミクリー分野のコンサルティング会社、Biomimicry 3.8のジェイミー・ドワイヤー氏は「38億年にわたる研究開発の結果です」と言う。「生命は、そうして進化を続けてきたのです」。

この団体は、1997年刊行の「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」でバイオミメティクス分野で最も注目されるエバンジェリストとなった、ジャニン・ベニュス氏が設立した。「生物が絶滅せずに残存する割合は0.1%です」と、ドワイヤー氏。つまり生物学的なソリューションとは、失敗に終わった数百万ものプロトタイプから生まれたものなのだ。

自然が生み出す実用的な美しさ

アドリアンセンス氏がプリンストン大学でバイオミミクリーへたどり着いたのは、自然がエンジニアリングの問題を解決する方法を模索したからではなく、最も効率的なソリューションが自然物に似ていることを発見したことからだった。彼女によると、自然は「非常に少ない材料を使い、それを適切な場所に配置している」という。

biomimicry in architecture Jenny Sabin eSkin
eSkin (2010–2014、Sabin、Lucia (建築)、コーネル大学; ヤン (材料科学)、ファン・デア・シュピーゲル & エンゲータ (電気工学/システム工学)、イヒダ=スタンスベリー (細胞生物学)、ペンシルベニア大学) [画像提供: Sabin Design Lab]

その例として、貝殻の有機的な曲線を挙げる。「貝殻の強度を実現しているのは、素材の多さではなく、その形状なのです」。

氏はエンジニアとして、花のように日光に反応し。弾性と形状、サーモバイメタルにより開閉するスクリーンシステムの構築に取り組んでいる。バイオミミクリーはエンジニアよりも建築家が参考にすることが多いが、工学分野での実践が多いと考えられているのには理由がある。自然には美しい形状が多く存在するが、生物学では建築家のように審美眼的な選択を気にすることはない。エンジニア同様、自然はあくまで実用性を追求し、その副産物として優美な均整美がもたらされている。

航空機を自然の力で進化させるには?
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コーネル大学の建築学部教授でSabin Design Labのディレクターを務めるジェニー・セービン氏は、生物学にインスピレーションを受けた類推的手段としてのニッティングに注目し、細胞構造を持ちフォトルミネセンスで発光する網を作成している。このニッティングは、細胞がネットワークを構築する動作と、細胞同士がつながって組織となる様子を模倣したものだ。「全体的な形状は、線維性糸状体のシステムをベースとしています」と、セービン氏。「ニッティングは、3Dプリントの最初の例です。列ごとに、あるリンクを次のリンクへと付加的につなげていきます」。

彼女のeSkinプロジェクト (材料科学者シュー・ヤン氏、機械技術者ヤン・ファン・デア・シュピーゲル氏とナデール・エンゲータ氏、細胞生物学者カオリ・イヒダ=スタンスベリー氏と共にアメリカ国立科学財団の資金援助を得ている) では、構造色を組み込むことで、日光の強さに反応して素材の透明度と色を変化させている。

biomimicry in architecture Apertures Baumgartner + Uriu
Apertures. Courtesy Baumgartner + Uriu Architecture.

自然界に存在する構造色の例には、ブルーモルフォチョウの翅やハチドリの羽根などがある。その独特の細胞の挙動にインスピレーションを受けたeSkinチームは、こうした材料特性や効果をバイオミミクリーに利用し、敏感に反応する材料とセンサーにより提供されるフィードバックループを使用して、環境からのサインに適応する、スケーラブルなビル外壁へ応用することに興味を持っている。

フィードバックループを活用したインスタレーション

B+U Architectureによる“Apertures”インスタレーションも、同様にフィードバックループにフォーカスしたものだが、ビル全体を有機体と仮定した作りになっている。ストーム・トルーパーの甲冑に緑のフジツボのような覗き窓がついたような、熱成形の白いプラスチック ポリマーでできたこのインスタレーションの有機的な形状は、『ジャックと豆の木』の豆の木がSF映画に登場したような姿をしている。

インスタレーションには熱センサーが備わっており、訪問客が覗き窓の開口部に近づくと、その存在を検知する。センサーは熱の測定値をアルゴリズムに送り (測定値を血液循環と神経活動の代用として使用する)、その情報をサウンドへ変換。このサウンドは、インスタレーション内の人数が数名までの場合は低いハム音で、集まる人数が増えると音量が大きくなる。

biomimicry in architecture animated Apertures Baumgartner + Uriu
Apertures. [提供: Baumgartner + Uriu Architecture]

B+Uで共同出資者を務めるヘルヴィッヒ・バウムガートナー氏は「これは基本的に刺激のレベル (を測定したもの) です」と語る。「時間をかけることで、またより多くの人がこの作品と接触することでサウンドは大きく、より激しくなっていきます。一種のフィードバックループです」。これは訪問者が優しいハム音には引き寄せられ、音が大きくなると退散し、金切音が消えると再び集まるようになるためだ。

バイオミミクリーの実演としては無愛想な方法だが、バウムガートナー氏が「自然にロマンチックな感情を抱いてはいない」と言うのは驚きではない。バウムガートナー氏と彼の事務所が興味を持つ自然とは、機械的シミュレーションを指している。「自然に見えますが、実際には極めて人工的です」。

だが、デザイナーが使用しているコンポーネントが実際に生きているとすれば? バイオミミクリーは境界の定義が緩やかな新分野だが、大まかに2種類のアプローチがある。生物学的プロセスのシミュレーションと、「生物成分利用」と呼ばれる生体のコオプション (使い回し) だ。

自然界から学ぶべきもの

レンガ製造における炭素排出量削減を目指す bioMASONは、ノースカロライナ州の自社工場で、窯を使用せず温室のような条件下でレンガを製造している。設立者でCEOのジンジャー・クリーグ・ドシエ氏は「私たちが作っているのはバイオセメントです」と話す。

biomimicry in architecture bioMASON brick
日中と夜間のbioMASON製レンガ [提供: bioMASON]

このメーカーのプロセスでは骨材材料のpHバランスを変える細菌を使用し、炭酸カルシウムが生成されることで、最低限の炭素排出で材料を固着できる。「微生物がサンゴ礁へ及ぼす作用に似ています」と、ドシエ氏。bioMASON製レンガの製造コストは通常のレンガとほぼ同じだが、環境面ではずっと優れている (レンガを含めた建築材料の製造は、炭素排出量全体の12%を占める)。

自然界の仕組みの模倣が頭角を現しつつあるのは奇妙に思えるかもしれないが、世界的にサステナビリティが重要視されるようになるにつれ、あらゆる種類の効率的なシステムの検討が余儀なくされている。それにエンジニアは最近まで、自然のプロセスをシミュレートするツールを持っていなかった。

では、デザイナーやエンジニアは自然界から何を学び、何を模倣できるだろう? 学際的なコラボレーションが増え続ける限り、さらに多くを学び、模倣することができる。より多くの生物学者や建築家、機械技術者、材料科学者が協働するようになれば、バイオミミクリーのようにハイブリッドな分野が根付く可能性は高まるだろう。

ニウィアロウスキ氏は、「バイオミミクリーをデザインやエンジニアリングの分野へ限定してしまうようなことがあれば、その可能性に悪影響を与えることになります」と述べている。

#コラボレーション - #サステナビリティ - #建築 - #構造エンジニアリング
ザック・モーティスはシカゴ在住の建築ジャーナリスト。
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