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レンガ積みロボット Hadrian X が変える建設の未来とは
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レンガ積みロボット Hadrian X が変える建設の未来とは

人類は紀元前 7000 年からレンガを積み重ね続けてきました。それがテクノロジーによって変わろうとしています。オーストラリアの FBR 社は、その仕事をよりうまく、より安全に、かつ効率的に行うことのできる、新たなレンガ積みロボットを作り上げました。

by Rina Diane Caballar
建設 - 2019年6月6日
レンガ積み ロボット hadrian x fbr
屋外ビルドに取り組む Hadrian X と FBR チーム [提供: FBR]

レンガは最古の建材のひとつだ。日干しレンガの歴史は実に紀元前 7000 年、焼成レンガも紀元前 3500 年にまで遡る。その用途は非常に幅広く、抽象化されたメノーラー (ユダヤ教の燭台) の成形や美しいアーチにも使われてきた。モルタルを塗り、レンガを並べた後で、はみ出たモルタルをコテでならすという積み方も、数世紀にわたって変化していない。

この数千年に及ぶ伝統を、テクノロジーで強化しようと考えた企業がある。オーストラリアを拠点とする建設テクノロジー企業 FBR (旧 Fastbrick Robotics) が、レンガ積みロボット Hadrian X を開発。防御壁を建設したローマ皇帝ハドリアヌスの名を冠したロボットは、人の手を借りずにレンガを積むことができる。

レンガ積み ロボット hadrian x 作業中
Hadrian X は人間の手を借りずに作業可能 [提供: FBR]

このテクノロジーは、世界各地における住宅不足への対策を含めた、実に広範なメリットを提供する。FBR のスティーヴ・ピアーツ CIO (イノベーション最高責任者) は「要求されるペースで住宅建設を行うのに必要な人手が不足しています」と話す。「そのプロセスを大量建設を通じて自動化する必要があり、それを可能にする手段のひとつが、このロボットです」。ピアーツ氏は、自然災害後の復興にも機会も見出している。「私はロボットの一群が被災地で、居住用構造物を素早く建設する未来を思い描いています」と、ピアーツ氏。

高い精度を誇る Hadrian X は効率も向上でき、その結果、従来の手法より住宅を迅速に、かつ低コストで建設を行える。また、生産性を向上させ、ムダを低下させるリーン コンストラクションのアプローチも促進。FBR のサイモン・アモス建設技術部門ディレクターは「シングルソースのデータを取り込み、積み方を考慮に入れた上で、必要となるブロックの数と接着剤の量を把握できます」と述べる。「つまり、どれくらいのムダが生じるのかを、事前に完全な形で理解できます」。

Hadrian X の外観はトラック搭載型の典型的なクレーンのようだが、制御システムとブロック搬入システム、動的安定化システムなど複雑なコンポーネントが組み合わせられ、それによって機能している。マシンは投入されたブロックひとつひとつを識別し、それをどこに並べるべきかを判断。必要に応じてブロックを 1/4 や半分、3/4 サイズに切断して、後で使用できるよう保管する。ブロックはブーム移送システムへ送られて、配置ヘッドへと運ばれる。このヘッドが、マシンにプログラムされたロジックとパターンに基づいてブロックを並べていく。

「このマシンが、配置ヘッドでマジックを実行します」と、ピアーツ氏。「風や振動を受けてもブームがブロックをしっかりと保持し、1 秒に数百回もの補正を行って正確な位置に配置します」。

レンガ積み ロボット hadrian x クローズアップ
Hadrian X がブロックを並べる様子のクローズアップ [提供: FBR]

この Hadrian X ロボットの開発は 10 年以上にわたって続けられてきた。動的安定化ロボットのアイデアは 1994 年に誕生したものだが、FBR 設立者兼 CTO のマーク・ピヴァック氏が初のプロトタイプを作成したのは 2005 年になってからだ。Hadrian X の先行モデル、Hadrian 105 の生産は 2008 年の世界金融危機によって停滞。このプロジェクトは、経済回復と建設業界ブーム、レンガ積み職人と石工の労働力不足の真っ最中だった 2014 年に再開され、次期バージョンである Hadrian X は 2016 年までに開発が開始された。

ロボットの制御システムは、ロボットを支える「脳」だ。直交座標とパラメトリック デザインを活用する FBR 独自のソフトウェアは、CAD でモデリングされた壁構造物をレンガのメタデータに変換し、全てのレンガとそれに関連する配置を把握する。ソフトウェアはその後、このメタデータを活用してレンガを特定の入れ子パターンへ追加。その後、アルゴリズムの力を借りて、そのパターンと、ロボットの配置ヘッドのサイズやロボットがブロックをつかむ方法など、その他のパラメーターに従ってレンガの配置を決定する。

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FBR は Hadrian X の壁システム用に独自のブロックとその形状をデザインした。「ブロックの概念は、人間がレンガをどう扱い、一定のスピードでどのように配置するのかに基づいています」と、アモス氏。「それをロボットに合致するよう変更しました」。Hadrian X のブロックは、壁の厚みが必ず一定になるよう最適化されている。面積を埋める率が最大になるよう、そのサイズは標準的なレンガの 12 倍になっており、Hadrian X は 1 ブロックを 45 秒から 55 秒で並べることができる。FBR が使用する接着剤は、従来のモルタルに比べて接着が速く、接着力も強い特殊なものだ。

ピヴァック氏は、このマシンの実際の動作構造に、自身の航空工学や機械工学、ロボット工学、数学のバックグラウンドを活用して、特許技術となる Dynamic Stabilization Technology (DST) を開発した。この DST は、3 次元空間で遠距離からブロックの正確な配置を実現。風や振動など環境要因からの影響は中和して、ブロックを正確な位置に保持できる。この安定性により、Hadrian X を艀 (バージ) や船舶、クレーン、トラックなど土台となるものの上にマウントして、他の現場でのブロック積みに活用できる。

レンガ積み ロボット fbr 動的安定性 テスト
動的安定性テストを実行する FBR スタッフのコジモ・サンテラ氏 [提供: FBR]

「課題となるのは、これらのシステム全てをきちんと連動させることです。システムは細部にわたって調整されており、ロボット内部の全てのモジュール同士の連動が綿密に制御されます。もちろん、汚れと危険の伴う建設現場に存在する、あらゆる環境上の問題にも対応しなければなりません」と、アモス氏は話す。

これらの問題を克服するため、Hadrian X には厳正な検証が行われ、それぞれの過程で教訓や改善がもたらされることになった。Hadrian X のマイルストーン ビルド (特定の機能を実装したもの) は 2018 年 11 月に内部で作られ、180 平米の住宅を 3 日間で完成させた。次の屋外検証を伴うステップは、2019 年 2 月、オーストラリアのうだるような猛暑の中で行われた。

「屋外でビルドを行い、データを収集して、ロボットを高温にさらして環境からの影響を理解しようとしました」と、アモス氏。「こうした検証の多くは、ロボットに相当な負荷を与え、脅威的で厳しい風と温度条件のもとに置いて、その影響を考察するためのものでした」。

レンガ積み ロボット fbr マイク・ピヴァック マーク・ピヴァック 装置 検査
装置を検査するマイク・ピヴァック氏 (左) とマーク・ピヴァック氏 [提供: FBR]

FBR は Hadrian X の今後のグローバルな展開に備えて、既に準備を進めている。メキシコの大手建設会社 Grupo GP の住宅部門である GP Vivienda と契約を結び、メキシコでのパイロット プログラムを検討中。サウジアラビア王国とは、50,000 戸の新規住宅建設プロジェクトの覚書に署名したところだ。さらに、オーストリアを拠点とするクレイレンガ メーカー Wienerberger との間で締結されたパートナーシップでは、Hadrian X 用に最適化されたクレイ ブロックの製造と、ヨーロッパにおけるパイロット プロジェクトの計画が進行中だ。

FBR は、母国オーストラリアでは建材の有力サプライヤーである Brickworks と連携し、「サービスとしての壁」をオーストラリア全域に提供する。Brickworks は、この「サービスとしての壁」を通じて、住宅プロジェクトに特化した FBR のブロック積みロボット用のコンクリート細工のブロックを供給する予定だ。

ピアーツ氏は、この Hadrian X に建設業界を変えるポテンシャルがあると信じている。「破壊的な変化は、業界を全く異なるアングルから見たときに訪れます」と、ピアーツ氏。「新しいテクノロジーに挑戦し、実験的な取り組みを進んで行わなければ、取り残されてしまうでしょう」。

#AI - #エンジニアリング - #ロボティクス - #建設 - #材料 - #構造エンジニアリング
リナ・ダイアン・カバラーはニュージーランドのウェリントン在住するフリーランスのライター。BBC Travel や The Atlantic、Quartz、CityLab など多数のメディアに寄稿しています。
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