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DfMAが明らかにする工業化建築のポテンシャルの全容
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DfMAが明らかにする工業化建築のポテンシャルの全容

DfMA (製造組立容易性設計) が工業化建築に革命をもたらしています。そのアーリーアダプターである英国のBryden Woodは、コストの低減とスケジュールの短縮にDfMAをどう活用しているのでしょうか。

by Mark de Wolf
建設 - 2022年8月4日
Bryden Wood used DfMA principles to build London’s Forge office complex
ロンドンのBryden Woodは10階建てのオフィスビル2棟からなるロンドンの複合オフィスビルForgeの建設にDfMAの原則を採用 [提供: Bryden Wood]
  • 製品の製造やプリファブリケーションによる組立品をデザイン選択のセットで実現・最適化するDfMA (Design for Manufacture and Assembly: 製造組立容易性設計) が、橋梁からホテルまで、あらゆるものの建設方法に革命をもたらしている。
  • 製造のテクニックを建造環境に適用することで、プロジェクトのコストや時間、複雑さ、不確実性、環境への影響を劇的に削減可能だ。
  • ロンドンのエンジニアリング/設計のパイオニアであり、DfMA推進派を牽引するBryden Woodは、DfMAの原則がさまざまなプロジェクトに適用可能であることを実証している。

爆発的に増加する世界人口に対して住居や雇用、サービスを提供するため、何百兆円という規模の建造物が新築されている。今世紀末までに必要な家の数は80億とされ、それを一刻も早く建設することへの重圧も高まっている。だが、建設は混沌とした業務であり、パンデミックや異常気象、地政学的な不安がサプライチェーンを寸断し、納期のスケジュールを狂わせる可能性がある。しかも熟練工不足により、スケジュールと予算通りに施工を行うことは難しくなっている。

AEC (建築、エンジニアリング、建設) 分野の企業は、それにどう対処しているのだろうか。既に複合フローリングやレディメイドの被覆材、ボルトオンシステムなどの革新により徹底的な施工効率化が行われている現在の状況から、さらに時間やコスト、不確実性を削減することは簡単ではない。

その答えとなるのが、製造業界に習ってDfMA (製造組立容易性設計) と呼ばれるプロセスを導入することだ。DfMAは工業化建築と製造情報に基づく設計という、成長を続けるトレンドの一部を形成しており、建築システム、さらには建築物全体を個別ではあるが接続可能な製品として一体化する。DfMAは、製造された製品やプリファブリケーションされた組立品の生産的な活用を可能にする、設計上の選択肢を包含するものだ。オフサイトの製造工場で建築製品や組立品を効率良く生産し、現場へ搬入して素早くつなぎ合わせることで、その組立を容易にする。

Bryden WoodはForgeプロジェクトで、同じシャーシを複数のモデルに使用する現代の自動車生産に似たプラットフォーム工法を採用
Bryden WoodはForgeプロジェクトで、同じシャーシを複数のモデルに使用する現代の自動車生産に似たプラットフォーム工法を採用 [提供: Bryden Wood]

このDfMAをいち早く支持している企業のひとつが、ロンドンを拠点とするデザイン/エンジニアリング会社、Bryden Woodだ。同社は20年前に、大量生産の効率性と確実性をオーダーメイド性の高い建設業界の実践と融合させるアプローチが必要であることを認識した。

新たな構造物の全てで、組み立てが必要になる。Bryden Woodが投げかけた問いは、「レンガやパイプをひとつひとつ積み上げていくのか、それとも、あらかじめ構築された大きな組立品やモジュールをつなぎ合わせてコスト削減や工程改善を実現するのか」という、シンプルなものだった。

膨大なニーズ、限られたキャパシティ

Bryden Woodでグローバルシステム部門を統括するジェイミー・ジョンストン氏は、「これは誰もが、何十年も前から話していたことです」と述べる。「DfMAが注目される背景には、建設業界の高齢化、サステナビリティへの懸念、そして2100年には世界人口が110億人に達するという予測があります。それまでに、全ての人のための住居と教育、医療、水と電気、データセンター容量などを用意する必要があります。人々のニーズは明白ですが、それを実現する我々の能力は、危ういほど不確実なのです」。

Bryden Woodはヒースロー空港拡張プロジェクトでターミナルピア間の交通緩和にBIMを活用
Bryden Woodはヒースロー空港拡張プロジェクトにおけるターミナルピア間の交通緩和にBIMを活用 [提供: Bryden Wood]

このギャップを埋めるには本格的な軌道修正が必要なのだと、ジョンストン氏は語る。たとえ十分な人数に対して十分なものを十分早く作ることができたとしても、現在のやり方では地球を滅ぼしてしまうからだ。

「作るべきものと、それを提供する能力との間の断絶があまりにも大きいため、その実現には両者の間で何らかの技術的な修正が必要です」と、ジョンストン氏。「業界は、この問題を長年うやむやにしてきました。ただし現在は、BIM (ビルディング インフォメーション モデリング) の急速な普及と、パンデミック中に見た業界のデジタル化で、人々の考え方が変わった点が異なります」。

Bryden Woodはロンドンのヒースロー空港とガトウィック空港の拡張工事や、エリザベス線 (旧クロスレール) プロジェクトでロンドン東西の異なる通勤路を結ぶ大規模な「ビッグディグ (大工事) 」など、注目度の高い大規模プロジェクト構想に、長年にわたってBIMを適用してきた。これら全てで、オフサイト製造とオンサイト組立を組み合わせた設計が活用されている。

オーダーメイド施工

ヒースロー空港とガトウィック空港のプロジェクトでは、ゲートと飛行機が密集している空港のターミナル「ピア」間の交通の流れを緩和・改善し、スペースを最大限に活用する計画が練り上げられ、1.5km以上に及ぶ通路を新設する必要があった。

旅行者の混乱を最小限に抑えるため、Bryden Woodの設計・施工計画では各空港の近くに製造施設を置き、コリドーの全区間をオフサイトで建設できるようにした。完成した各部品は車で空港まで運搬され、現地で簡単に組み立てられた。

Bryden Woodのデザイナー陣はオフサイト製造を行い、エリザベス線の駅構内で組立可能なパネルを考案した
Bryden Woodのデザイナー陣はオフサイト製造を行い、エリザベス線の駅構内で組立可能なパネルを考案した [提供: Bryden Wood]

エリザベス線プロジェクトでは、Bryden Woodは利用者の多いトッテナム・コート・ロード駅、リバプール・ストリート駅、ホワイトチャペル駅の地下に掘られる、新鉄道トンネルの設置パネルの製作を任された。同社の設計者とエンジニアはDfMAのノウハウを応用し、現地で迅速に組み立てられる、オフサイト製造可能なパネルを考え出した。

オフィス空間への新たなアプローチ

ロンドンの新しい複合商業施設Forgeは、デベロッパーのLandsecと共同で建設され、ザ・シャードと近現代美術館テート・モダンの間、セント・ポール大聖堂の対岸に建つ10階建てのオフィスビル2棟から構成されている。「ロンドンの中でも素晴らしいロケーションですが、敷地的には制約が多い場所です」と、ジョンストン氏。「そのため、建築の面では、この立地に対応した建物である必要がありました。ロンドンのあのエリアでは、多くの関係者を巻き込まなければ建設は不可能であり、単に大きなコンポーネントで構成された建物を建てるという選択肢はありませんでした」。

このプロジェクトにおける、Bryden Woodによる重要なイノベーションは、もともとイギリスの刑務所の新築工事用に開発されたプラットフォーム工法をオフィススペースに応用したことだ。同社のモジュラープラットフォームは、標準化された既製コンポーネントを、同じ手法を用いてオンサイトで組み立てられる。これは1種類のフレームやシャーシを作り、それを複数の車種に適用する現代の自動車製造にも似たもので、このプラットフォームが各ビルのフロアの完成を劇的に早めた。

Forgeプロジェクトのさまざまなコンポーネントは他のコンポーネントとぴったりとくっつけられ「会話」を交わす
Forgeプロジェクトのさまざまなコンポーネントは、他のコンポーネントとぴったりとくっつけられ「会話」を交わす [提供: Bryden Wood]

Forgeの部材は、鉄骨とコンクリートからなるハイブリッドフレーム内で、9mのスパンを採用。大梁には、一様に配管や保守用の切り欠きが施されている。プラットフォームの柱はフロアごとに異なるが、1階と低層階では上部の荷重に対応するために太くするなどの標準化がされている。

「プロジェクト毎に新しいシステムを考案するのでなく、IKEAやレゴのコンポーネントキットのように、どんなものの構築にも応用できるコンポーネントを作ることができました」と、ジョンストン氏。「各コンポーネントは他のコンポーネントに合わせられ、コミュニケートするのです」。ジョンストン氏は、このプラットフォームアプローチにより、同社のデザイナーは建物のデジタルモデルを自動的に生成できるとも説明する。

「重要なパラメーターを入力すれば、建物を記述するデータセットが自動生成され、BIMモデルの基礎が出来上がります」と、ジョンストン氏。「これは非常に迅速で、建物に変更を加えるたびにモデルに戻って調整するのでなく新しいモデルを生成するだけなので、20分ほどで完了します。生産性という点で画期的だと言えます」。

精度や時間短縮の面でも素晴らしい成果を上げている。プラットフォームは標準化され、プレカットされた状態で搬入されるため、仕上げ担当者が公差の問題に対応するための修正や調整にかかる時間や材料は、ほぼゼロにまで削減された。

こうして建築部材を製品化し、製造情報に基づき設計を行うことで、複合施設Forgeの生成するエンベデッドカーボンは一般的な建造物より30%少ない。その結果、英国グリーンビルディング協会 (UK Green Building Council) の定義を満たす、初めてのネットゼロオフィスになった。

DfMAと工業化建築技術によりForgeは英国初のネットゼロビルとなった
DfMAと工業化建築技術によりForgeは英国初のネットゼロビルとなった [提供: Bryden Wood]

イネーブラーとしてのBIM

ジョンストン氏にとって、これはBIMがなければ実現不可能なことだった。「BIMは特定の方法による連携を促進します」と、ジョンストン氏。「これまでは2次元図面に隠された問題が、現場で作業をスタートさせて初めて発覚することがありました。BIMを使用すれば、空間的な連携は格段に向上します。また、せっかく3Dモデルを作成したのに、それを何千枚もの図面にして現場の人に渡すのは理屈に合わないということも理解できるようになります」。

ジョンストン氏によれば、その好例がエリザベス線プロジェクトだった。設計のあらゆる面がまずAutodesk Revitでモデル化され、Dynamoによって何百もの製造と組立のオプションが自動的にモデル化される。Bryden Woodは、Autodesk Navisworksを使用して組立工程を最適化し、納品から組立までの最も効率的なシーケンスを作成した。

「これらのデジタルツールを業界として会得しなければ、DfMAの完全な活用はできません」と、ジョンストン氏。「BIMの普及は、新しい業務手法を可能にする、技術的かつ文化的な変化です。それが基礎となり、その結果のひとつとして、DfMAの普及が進んだのです」。

マーク・ドゥ・ウルフはテクノロジーのストーリーを得意とするフリーランスライター。チューリッヒを拠点とし、ライアソン大学ジャーナリズム学校を卒業。markdewolf.comでコンタクトできます。
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