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BIM からビッグデータまで: 仏ブイグが構築する未来の建設現場
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BIM からビッグデータまで: 仏ブイグが構築する未来の建設現場

コネクテッド コンストラクションの時代が到来。産業の変革の最先端にいるフランスの大企業ブイグは、建設現場の未来を作り上げています。

by Maxime Thomas
建設 - 2021年3月4日
Bouygues Construction header
  • 「リーン」が生産性、収益性と同義に
  • 新たな目標を達成するための新ワークフロー
  • 設計・施工のフェーズに同期した工業化の手法でアプローチ

建設業界のプロフェッショナルにとって、現場に関連した課題は山積みされている。納期を守り、これまで以上に複雑になっているプロジェクトで品質を保証し、マージンに関するプレッシャーへ対処するだけでなく、未来に向けたサステナビリティと現場のカーボン フットプリントの削減に対する関心の高まりにも応えなければならない。こうした基準に添った形でプロジェクトを完了できるかどうかは、多方面の関係者に提供される図面のクオリティと、各種の規制や制約をどう統合するかにかかっている。

こうした課題はフランスの建設企業大手、ブイグ (Bouygues Construction) の目を未来の建設現場へと向けさせ、その業務手法を再考する機会を与えることになった。同社デジタル プロジェクト管理戦略部門のディレクターを務めるフレデリック・ギャル氏は「現時点で設計のフェーズは完全にコントロールできているものの、BIM モデルの詳細度とコンテキストの向上に関しては、施工フェーズのデジタル化をさらに最適化し、建設サイクルをより一層スムーズにする必要があります」と述べている。

建設 現場 未来
ブイグで働く男女 [提供: Véronique Paul/Bouygues Construction] ブイグは衛生安全規則に準拠しています。この写真は新型コロナウイルス感染防止対策の導入以前に撮影されたものです。

同社が現場作業員に提供している図面には、組み立て中の要素は表示されているものの、その順序の詳細は書かれていない。「これでは、自宅で家具を組み立てる際に、説明書でなく完成形のイラストを見ながら進めているようなものです」と、ギャル氏は話す。説明が無ければ組み立てを直感的に進めることは難しく、より時間のかかるものとなってしまう。これは建設現場に関しても同じことが言える。

建設現場で「説明書を同封する」ことは、現場の作業員に対して、プロジェクトをスケジュール通りに実行するために必要なこと全てを提供することを意味する。つまり、設計フェーズからよくデザインされ、完全に文書化されたプロセスは、施工フェーズの最適化を可能にする。ブイグにとって、このコンセプトは工業化に対する考え方の中核となり、同社の改革を促すことになった。ギャル氏は、それによって「安全衛生、生産性、そして環境に対する大きなメリット」がもたらされると提言している。

「リーン」が生産性、収益性と同義に

施工フェーズの最適化には、バリューチェーン全体の再検討が必要になる。この新しいアプローチは、必然的に製造業界で活用されているようなプロセス統合をもたらす。つまりエンジニア、プロジェクト サイクルの外側にいる同業者の間の連携だ。そこには設計フェーズのスタート時からツールを準備し、データベースを作成することも含まれる。プロジェクトのより良い実行を目指すには、これら全てが不可欠なステップだ。「目標とすべきは、この情報を建設現場に活用し、プロジェクトのライフサイクルを加速することです」とギャル氏は証言している。

「現在、Autodesk Revit などのマスタリング ツールのおかげで設計フェーズをしっかり把握できていますが、施工フェーズも同様に理解しておく必要があります」と、ギャル氏は付け加える。最も重要なのは機械設計レベルで、回路図以上にダイナミックなものへとシフトすることだ。それにより、図面が変更されると、関連する全要素が自動的に変更されるようになる。例えば乾式壁の施工者の作業の場合、ハードウェアはフレームと石膏ボードにリンクしているため、図面に対するあらゆる変更は、組み立て全体を自動的に更新する。時間短縮につながるこの進歩は、大幅に能率化されたワークフローとコスト低減をもたらす。

The group’s climate strategy is based on a wide range of low carbon options and solutions for reducing the greenhouse gases generated by its activities.
同グループの気候戦略は、事業活動で生成される温室効果ガスを削減するための、広範な低炭素の選択肢とソリューションに基づいている。その目標はパリ協定に適合しており、2030 年までに温室効果ガス排出量の 20% 削減を目標としている、とブユージュ・グループのマルタン・ブユージュ会長兼最高経営責任者(CEO) は述べている [提供: Ronald Lim/Bouygues Construction]

新たな目標を達成するための新ワークフロー

ブイグは、この移行を通じて幾つかの目標の実現を目指している。Construction 4.0 Chair の副統括を務める同社のルドヴィック・ルヴェルディ氏は、それは「このプロセスを設計フェーズのより上流へと拡大し、ユーザーエクスペリエンスを考慮して、新たな建築手法を検討することです」と話す。同社はワークフローの再編成により、近い将来に現場の作業環境と安全性を向上させられると期待している。これは過酷な建設作業の緩和に役立ち、最終的には社会復帰プログラムの参加者や身体障害を持つ人々の雇用機会を増加させられる可能性がある。

「こうしたことの徹底は、組織の向上だけでなく使用する材料の輸送運搬の再評価で無駄を抑え、炭素排出量の削減目標の達成を可能にします」と、ギャル氏は付け加える。このアプローチは生産性と投資利益率の向上、カーボン フットプリントの低減により、建設業界のプロフェッショナルに高い価値をもたらす。

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フランス西部ラ・ロッシュ=シュル=ヨンにある学生寮 Alpha City Student Housing にはブイグのプリファブリケーションによる部材が使われている [提供: Willy Berre/Bouygues Construction]

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フランス西部ラ・ロッシュ=シュル=ヨンにある学生寮 Alpha City Student Housing にはブイグのプリファブリケーションによる部材が使われている [提供: Willy Berre/Bouygues Construction]

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フランス西部ラ・ロッシュ=シュル=ヨンにある学生寮 Alpha City Student Housing にはブイグのプリファブリケーションによる部材が使われている [提供: Willy Berre/Bouygues Construction]

SmartFabrik というターニング ポイント: 新たな考え方で建設を変える

2018 年は、ブイグにとって決定的な転機となった。リーンマネジメント、BIM、生産データの融合に注力した SmartFabrik R&D プロジェクトが、同社の工業化プロセスへの移行を可能にした。「SmartFabrik は、フランス、英国の社内では既に行われているベスト プラクティスを活用する原則に基づいたものです」と、ルヴェルディ氏。「R&D により他業界のベスト プラクティスを自社のプロジェクトに置き換え、このプロジェクトをさらに掘り下げていく予定です」。

SmartFabrik は、軍関係者や学生向けの住居など、ブイグの多くの住宅建設現場で既に試行されている。「このアプローチを建設現場に採用することで、起こりうる問題を識別し、プロジェクトの別段階で利用可能なデータをフル活用して、次のプロジェクトの実施を向上させるのに役立つでしょう」と、ギャル氏は話す。

ブイグにとって、この R&D プロジェクトは恩恵であり、その反響は購買方針にまで影響を与えるようになるだろう。こうした方針は、今後は個々の現場レベルではなく、グローバル規模で再検討されるようになるかもしれない。だが、従来とは異なる購買方針の導入には「信頼できるパートナーによるネットワークの発展と利用、および互恵、共同発展、成長の文化の促進」も伴うと、ルヴェルディ氏は言う。

データ活用が工業化の鍵

施工者のマージン最適化への道は、データのフル活用にある。建設業界のマージンがタイトになる中で、このプロセスは必要な材料への出費を削減するだけでなく、設備の保守コストも低減する。

BIM の成果として、建設分野は自由に利用できる膨大な量のデータを所有している。建造物の完成形のデジタル ツインは、初期モデルの再調整を可能にしている。だが、現場の作業から生まれたデータはほとんど活用されていない。デジタル ツインは、より包括的かつ協調的な環境を生み出す進歩を促進する。この新たに得られたつながりは、バリューチェーンに含まれる全関係者の優れた統合をもたらし、意志決定プロセスを円滑にできる。これは大幅な時間短縮を実現し、関係者を実践と顧客満足に注力できるようにする。

こちらもオススメ: 業界を超えたデータ共有によって生み出される共通ツールセット

先頃、Construction 4.0 Chair を通じてフランス北部の工科大学院エコール・サントラル・ドゥ・リールで土木工学の博士号を取得したトマ・ダネル氏は、その論文で、クレーン データの活用がいかに建設現場の生産性を向上させるかを論じている。クレーンは建設現場で、骨組みを構築する際に必要だが、その使用法は理想的とは言えない。クレーンがタスクに対して正しくデザインされていない場合や、適切でない、もしくは適切ではなくなった場所に長期にわたって置かれているような場合には特にそうだ。

ダネル氏は、建設現場におけるデータ収集と解析に取り組んでいる。「クレーンの使用法と BIM モデルから抽出されたデータを活用して、プロジェクトの日々の進捗の自動プランを生成できるアルゴリズムを開発しています」と、ダネル氏。「規則正しく稼働する工場とは異なり、建設現場では予想不可能な不測の事態が生じがちです。このアルゴリズムは実行されたタスクを識別可能で、スケジュールに生じるかもしれない遅れを予測できます。それにより、細部までフォローアップが可能です」。このデジタル改革は、ブイグが始めた建設現場での生産性と安全性の両方の向上を目的としている。

建設 現場 未来
iPilot プロジェクトでのクレーンの遠隔操作[提供: Marc Lambert/Bouygues Construction]

品質の証としての工業化

ブイグにとって、この転換は現場における価値創出の新時代の始まりである。プレファブリケーションが独自性に欠ける、というのは正しくない。工業化でクリエイティビティを抑えたり、品質に妥協したり、デザイナーが利用可能な選択肢を制限したりする必要はない。実際は、むしろ逆だ。価値の創造は、計り知れない数の不確定要素を活用し、その全てをプロジェクトのニーズに合わせて調整しつつ、電気回路や HVAC (冷暖房空調設備) など目につかないものを最適化するということだと、ブイグは考えている。

これはフランスでは、さまざまなタイプの寝室にある、目に見えない要素の工業化を意味するのかもしれない。ブイグでは、プレファブリケーションに関する初の産業パートナーシップが進行中で、そうした部材は学生寮のバスルームや木造軸組の壁、保守用の竪坑に実装されている。

建設 現場 未来 プレファブリケーション 要素
ブイグでは、プレファブリケーションに関する初の産業パートナーシップが進行中で、そうした部材は学生寮のバスルーム、木造軸組の壁、保守用の竪坑に実装されている [提供: Bouygues Construction]

これは、より伝統的な製造業界と同じアプローチだ。プロジェクト オーナーが創造性を発揮できるよう、多くの選択肢を利用できるように維持することで標準化を避ける一方で、占有者やユーザーが目にすることのない隠された要素への参照数を制限することが目標となっている。

オートデスクで AEC 分野のビジネス戦略とマーケティングの担当するニコラ・マンゴン副社長は、「オフサイトでのプレファブリケーションは納期、品質など多くの利点を提供し、コストをより良好に管理できます」と述べている。「設計・施工のフェーズに同期した工業化の手法でアプローチすることは、建設業界にとって最も有望な手段であり、この業界がもたらす環境への影響の制御を、より容易なものにします」。

イノベーションの最前線にあり、経済部門全体の生産性を向上しようと努力を続けているブイグのような企業において、この重要な取り組みが推し進められている。

#コラボレーション - #ビッグデータ - #プレファブリケーション - #プロジェクト管理 - #土木工学
フランスのラジオのエディターを務めるマキシム・トーマスは、産業化のさまざまな面をカバーしています。
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