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リスペクト: フランク・ロイド・ライトのデザインが時代を超える 3 つの理由
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リスペクト: フランク・ロイド・ライトのデザインが時代を超える 3 つの理由

フランク・ロイド・ライトは、アイコニックなデザインを遺しただけの人物ではありません。有機的建築を提唱したサステナビリティの先駆的存在であり、デザイン思考を最も早い時期から支持し、またデザインの民主化に貢献するなど、現在の視点でも非常に刺激的な存在です。

by Matt Alderton
リスペクト - 2017年6月8日
フランク・ロイド・ライト デザイン
フランク・ロイド・ライト [Image composite: Earl Otsuka]

1997 年公開の「ガタカ (原題: Gattaca)」は、遺伝子工学が社会的な階級の基礎となるディストピア社会を描いた、典型的な SF 映画だ。DNA 操作を受けた遺伝子的に優秀な人材が最高のキャリアを手にできる一方、操作を受けなかった場合は下層クラスの生活を余儀なくされることになる。自然妊娠で生まれた主人公 (イーサン・ホーク) が宇宙飛行士になる夢を実現するには、幾度もの生体認証を切り抜ける必要があった。

プロットは未来を描いたものだが、この映画の大半は数十年前に建てられたカリフォルニア州サンラファエルのマリン郡庁舎 (シビックセンター) で撮影されている。1959 年に亡くなった世界的な建築家フランク・ロイド・ライトの、生前最期にして最大の公共プロジェクトであり、1960 年から 1976 年の間に段階的に建築されたものだ。

フランク・ロイド・ライト デザイン 落水荘 カウフマン邸
フランク・ロイド・ライトによるペンシルバニア州ミルランの落水荘 (カウフマン邸; 1934–1937) のドローイング [提供: The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)]

organicARCHITECT の設立者であり、キャリアの初期にライトに教えを請うたエリック・コーリー・フリード氏は「彼の建物の多くは、未来から来たもののようです」と述べる。「偉大なデザイナーの例にもれず、時代を超越する作品を生み出したのです」。

広々とした窓と低く抑えられた屋根、水平線を強調したデザイン、部屋同士を緩やかにつなぐ空間の連続性などを特徴とする彼の作品は、米国の建築界へ大きな影響を与えた。その先進性は、現在も 100 年前と何ら変わりがない。

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ニューヨーク現代美術館 (MoMA) で建築、デザイン部門のキュレーターを務めるバリー・バーグドール氏は「20 世紀の米国における建築の実践と理論の進化にはフランク・ロイド・ライトが強く影響しており、彼の作品無しには、米国のモダニズム建築は理解できないでしょう」と述べている。

1867 年 6 月 8 日のライト生誕を記念して、バーグドール氏と研究助手のジェニファー・グレイ氏は、6 月 12 日から 10 月 1 日までの期間限定で開催される「Frank Lloyd Wright at 150: Unpacking the Archive」展を企画。建築ドローイングやモデル、映像、テレビ番組、印刷物、家具、テーブルウェア、テキスタイル、絵画や写真など、400 ものライト作品が展示されることになっている。

フランク・ロイド・ライト デザイン グッゲンハイム 模型
フランク・ロイド・ライトによるニューヨーク・グッゲンハイム美術館の模型 [提供: The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)]

ライトの生誕 150 周年を祝すのは、MoMA だけではない。シカゴのフランク・ロイド・ライト保存トラストは、レクチャーやツアー、ハイキングを行い、そこには彼が居住し、仕事を行なったシカゴ周辺の関連サイトのオープンハウスも含まれる。ライトがデザインしたニューヨークのグッゲンハイム美術館は、6 月 8 日の入場料のディスカウント、カップケーキのプレゼントなども行う。バージニア州アレクサンドリアのポープ・リーハイ邸は、150 周年ピクニックとファンドレイザー パーティを開催。ライトの建築物が複数存在するニューヨーク州バッファローでは、Buffalo Arts & Crafts Alliance が 4 カ月にわたる展示とイベントを行うことになっている。[編注: 日本国内でも、旧本館のデザインが行われた帝国ホテルなどで、生誕 150 周年の催しが企画されている]

同様にライトの生誕 150 周年を祝うフランク・ロイド・ライト財団の代表兼 CEO、スチュアート・グラフ氏は、「彼は自らスキルを身につけた農家の少年であり、作品を作り始めた時点では、エンジニアリングの教育は 1 年に満たないものでした」と述べている。「そこから米国でも最も偉大な建築家となり、デザインや建築、生活の方法を根本から変革しました。そうした変化は、今でも我々が感じ取ることのできるものです」。

ライトの遺産は過去に生み出されたものだが、そのビジョンはこれまで以上に重要なものになっている。彼が米国の建築にもたらした 3 つの貢献と、それが現在と過去に示唆するところを考えてみよう。

フランク・ロイド・ライト デザイン マーティン・ダーウィン邸
フランク・ロイド・ライトによるニューヨーク州バッファローにあるマーティン・ダーウィン邸 (1903–1906) のドラフティング [提供: The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)]

1. サステナビリティの先駆者

彼が提唱した「有機的建築」という建築理念は、建築は人間の有機的な生活を反映したものであり、建築物は外部の自然と調和をはかるべきだというものだ。

「彼はその人生を通じて、人類が建築したものと、自然環境や多様な地域におけるエコロジーとの関係性を心配していました」と、バーググドール氏。

そうした懸念こそが、現代のサステナビリティが築かれた基礎であり、フリード氏によると、ライトは昼光照明やパッシブなソーラーヒーティングがトレンドとなる遥か以前から、建築物を太陽の方向に向けていたという。またパッシブ クーリングと現地の建材 (サステナビリティに配慮して伐採された木材を含む) を活用し、建築廃材を減らすため、大量生産された材料の寸法に基づいて建築デザインを行っている。

「私は、彼を最初のグリーンな建築家だと考えています」と、フリード氏。「彼の建築は、グリーンビルディング (緑の建築とも呼ばれる環境配慮型建物) の教科書です」。

2. デザイン思考の擁護者

シリコンバレーやその他のイノベーションセンターでは、ビルディングやオブジェクト、ソフトウェアを、そのユーザーを心に留めてデザインする「人間を核としたデザイン」が大人気となっている。ライトは、その最も初期の支持者のひとりだ。

フランク・ロイド・ライト デザイン コラージュ
フランク・ロイド・ライト [提供: The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)]

「ライト氏は、クライアントと親しくなることを好みました。実際にどのような生活を送っているかを観察することで、解決すべき問題を認識できたのです」と、フリード氏。

グラフ氏によると、ライトは家具やテキスタイル、アクセサリーを含めて、空間全体をデザインすることも多かった。それがどう見えるかだけでなく、どう使われるかのビジョンも持っていたからだ。「現在では、デザインを語る際に、だれもがそれに言及します。エンジニアリングにおける人間の要素や、オブジェクトがどう使われるか、どうすればそれがより美しく、分かりやすくなるか。ライトの建物ではそれが重視されており、しかも彼はそれを一世紀も前に行っていたのです」。

3. デザインの民主化

アリゾナ州スコッツデールにあるタリアセン建築スクール (以前のフランク・ロイド・ライト建築学校) のアーロン・ベッキー学部長によると、ライトの遺産は建築的なものに留まらず、ソーシャルかつ政治的なものでもあった。

「ビルを機能させる電気や水、下水、エアコンなど、すべてのシステムは対立するものではありません」と、ベッキー氏。「それらは完全に相互接続された本体の一部であり、その本体も都市や郊外など、より大きなものの一部なのです。ライトは、ビルが独立したオブジェクトだと考えるのでなく、皆が共有する非常に複雑な世界を理解する方法なのだと考えるように促しています。それが、私がライトを尊敬する理由のひとつでもあります。単に見かけの良い箱を作ることを超越して、建築が世界を変え、より良いものにするのだと信じさせてくれます」。

その例を挙げておこう。ライトのユーソニアン・ハウスは、民主化の理想を反映した、建築への非常に米国的なアプローチを表現する、彼の造語だ。

frank lloyd wright designs Taliesin West
アリゾナ州スコッツデールの、フランク・ロイド・ライトの冬季の家、スクールだったタリアセン・ウェスト [提供: Andrew Pielage/Frank Lloyd Wright Foundation]

「彼は美しい家と質の高い建築を、誰にでも手の届くものにしたいと考えました。そして控えめ、低価格で愛らしいユーソニアン・ハウスを作ったのです」とグラフ氏。彼によると、典型的なユーソニアン・ハウスは当時の価格で5,000米ドルで、これは現在の貨幣価値では 85,000 米ドル (約 950 万円) だ。

ライトの信奉者であり、エコフレンドリーなハウスキットで知られる Noble Home のオーナー兼建築家のノア・グルンバーグ氏は、「ライトはしばしば、自身の作品を民主主義の建築と表現しました」と語る。「ライトは 1930 年代に、ブロードエイカー・シティと呼ばれる米国の景観のマスタープランを作りました。これは、全ての家族が居住地として 1 エーカー (約 1,200 坪) の土地を所有でき、近隣のサービスを受けながら、ほぼ自給自足の生活を送るという計画でした」。

このモデルが実現することはなかったが、ライトのアイデアと先見の明を持った視線は、時代を超えることになった。「ライトによる空間や素材、構造の過激な再考は、人々に未来の形と、生活がより美しくなることに関するビジョンを提供しました」と語るグラフ氏は、ライトが最高の建築作品を尋ねられた際に「次の作品」だと答えたことを思い起こす。「彼は 70 年間、常に先を見ていました。どんな人にとっても、またどんな仕事をしていても、これは素晴らしいことであり、それこそが人々がフランク・ロイド・ライトに刺激を受ける理由だと思います」。

#サステナビリティ - #リスペクト - #建築 - #教育
マット・アルダートンはビジネスやデザイン、フード、トラベル、テクノロジーを得意とするシカゴ在住のフリーライター。
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