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地球情報学によりメキシコ市初の高速鉄道を mm 単位の精度でマッピング
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地球情報学によりメキシコ市初の高速鉄道を mm 単位の精度でマッピング

メキシコ市のもつれた交通問題と、その結果として生み出される空気汚染や生活の質の問題。それらを解きほどくために、安全で高速な通勤・通学列車の実現に地球情報学が貢献しています。

by Matt Alderton
インフラ - 2018年10月22日
Consorcio IUYET Leica SiTrack リアリティ キャプチャ システム
Consorcio IUYET チームは Leica SiTrack リアリティ キャプチャ システムを使用して周辺環境と mm 単位以上の精度による鉄道線路末端の寸法の点群データを収集した [提供: Consorcio IUYET]

多くの主要都市同様、メキシコ市も交通の問題を抱えている。この問題は他の大都市でも頭痛の種になっているが、メキシコの首都であり交通問題ランキングで世界ワースト 1 にランクされるこの街にとっては、強烈な偏頭痛だ。メキシコ市の通勤時間は渋滞により平均 66 % も長くなり、ラッシュアワーの場合は 96 – 101 % にまで上昇。これはドライバーにとって 1 日あたり 59 分、年間では 227 時間にも相当する。全米で最も混雑率の高いロサンゼルスですら、この数字は 1 日当たり 44 分、年間で 170 時間だ。

メキシコ市は慢性的な交通渋滞により、重度の環境汚染と交通事故死亡者数の多さ、労働生産性の低さに悩まされてきた。だが、幸いにも新たなインフラ構想による支援が実現しつつある。その最大のものが、メキシコ市とトルーカ市を結ぶ都市高速鉄道プロジェクト (英文資料)  で、2019 年半ばまでに完成予定だ。

25 億米ドル (2,800億円以上) をかけたメキシコ市初の高速鉄道は、地理空間情報の測量と解釈により地表を把握する科学分野、地球情報学を活用している。全長約 58 ㎞ にわたる電気高架鉄道は最高時速 159 ㎞、1 日当たり 23 万人の乗客輸送を実現し、平均通勤時間は 2 時間から 39 分へと大幅に短縮される。

メキシコ市が大型の交通機関プロジェクトに取り組むのは、これが初めてではない。2012 年には新しい地下鉄路線が開通したが、「ゴールデン線」と呼ばれた地下鉄 12 号線は、開通からわずか 17 カ月で全 20 駅のうち 11 駅が一時閉鎖に追い込まれた。脱線の恐れが生じたためだが、その原因は粗悪な建設工事だけでなく技術不足もあった。

メキシコ市在住の科学ジャーナリスト、マヌエル・リノ氏は標定点設置、測量、イメージング分野の専門誌「xyHt」で、「地下鉄プロジェクトは計画が不十分で、適切な技術が使用されなかったため損害を被ったと思われます」と語っている。「メキシコ市は、テクノロジーの潜在力を最小限しか使わないことが多いのです。これでは、飛行機を所有しているのに高速道路を走っているようなものです。飛行機は空を飛ぶことができるのに、操縦する技能がないため、その真価を活用できません」。

新しい高速鉄道と列車 予想 レンダリング 画像
新しい高速鉄道のレンダリング画像 [提供: Consorcio IUYET]

メキシコ市 – トルーカ市間の鉄道プロジェクトは、メキシコの土木工学関連サービス会社で、建設の監督指揮を行う Consorcio IUYET が関与しているため、ゴールデン線の轍を踏むことはなさそうだ。この会社はリアリティ キャプチャと BIM を活用して地理空間情報を収集することで、mm 単位の精度による建設を実現する。

次元に関する議論

メキシコ市 – トルーカ市の都市間鉄道プロジェクトは立体的な構造で 2 次元モデルによる調整が難しいため、Consorcio IUYET の BIM ディレクターであるアンジェリカ・オルティス氏によると、BIM を採用するには最適なタイミングだ。3 次元モデルを使うことで、関係者はプロジェクトの各階層をタマネギの皮を剥くように剥ぎ取ることができる、と彼女は説明する。その好例である鉄道駅は、地階、1 階、地上階がそれぞれ重なり合った要素を持つ。「極めて詳細な地勢図を使っていますが、その情報すべてを 2 次元化しても、技術者には“自分たちエンジニアには、これは読めない”と言われるでしょう」と、オルティス氏。「それを 3 次元にすることで、実際に理解してもらえるようになりました」。

Consorcio IUYET は数年前、 本社の建設に 2 次元モデルを用いていたが、そこで BIM を試すことになった。設計プランを 3 次元に変換すると、重大な間違いが発覚した。エレベーターが建物の基礎部分と干渉する形で設計されていたのだ。「極めて基本的かつ初歩的な誤りかもしれませんが、こうした間違いが見落とされることもあるのです」と、オルティス氏。「どれだけ多くのベテランがいても、関係ありません。皆、自分の担当箇所しか見ていないからです」。この経験から、Consorcio IUYET はメキシコ – トルーカ都市間鉄道プロジェクトの、自社担当部分に BIM を使用することを要求した (プロジェクトの主設計は SENER が担当)。

A pair of Consorcio IUYET ドローン 位置情報
Consorcio IUYET のドローンが現場の樹木やその他の障害物の地理空間情報を取得するための画像をキャプチャ [提供: Consorcio IUYET]

成功を導くスキャニング

メキシコ市とトルーカ市を結ぶルートには、交通量の多い幹線道路や幅の広い橋、広大な谷間、深い山々、慎重な扱いが要求されるインフラなどが溢れている。列車はこれらすべての間を迅速かつ安全に、かつ手頃なコストで横断する必要がある。Consorcio IUYET は正確な 3 次元モデルを構築するために地球情報学を活用し、さまざまなリアリティ キャプチャ ツールと技巧を組み合わせて使って、クルーが建設を行う地域一帯の完全な図画を描いた。「通常は、スキャンは一度に行います」と、オルティス氏。「今回は 1,000 回以上のスキャンを行い、それらを高精度で組み合わせる必要がありました」。

Consorcio IUYET は現場を訪れ、スキャン結果を調整するための GPS 座標の参照ネットワークを作成した。実際のスキャンでは、樹木や公共インフラ、橋などの障害物の地理空間情報を取得するため、ドローンを用いた写真測量で空撮画像を生成。この地域一帯のマッピングのため、光検出と測距 (LIDAR)、高精度測量 (HDS) を使用して地理空間情報をキャプチャした。また、地中レーダー (GPR) と水中を確認できるソナーを搭載したドローンを、地中と海底地形の把握に役立てた。

「点群データは、その後オートデスクのソフトウェアを使ってまとめられました」と話すオルティス氏が、プロジェクト チームが頼りにしていたという Autodesk AEC Collection には、写真やスキャンをデジタル モデルに変換する ReCap や、モデルを取り込む Civil 3D、建設の詳細を管理する Revit、そしてすべてのレビューを行う Navisworks などが収められている。「点群データを統合することで、実際の現場であらゆるシミュレーション、計算に使用可能なデジタル地形モデルが得られます」と、オルティス氏。

Leica P40 ScanStation レーザー スキャナ 作業員
Leica P40 ScanStation レーザー スキャナーは 2 ㎜ x 2 ㎜ の密度で 1 秒間に 100 万点をキャプチャ [提供: Consorcio IUYET]

完成した 3 次元モデルは、一度ならず窮地を救った。建設チームが憂慮していたことに、メキシコ市の水道網との干渉がある。地方自治政府は、水道網は路線エリア外にあると主張したが、スキャンの結果、それは間違いだと判明。BIM を使っていなければ、クルーは水道本管に穴を空けていただろう。

政府関係者にもメリットをもたらした。路線上のある地点では高架線が山腹を通過しており、森を切り開いて支柱を支える空間を設ける必要があった。環境問題専門家の懸念に対応し、政府は Consorcio IUYET のモデルを使用して複数の建設シナリオを作り、環境への影響が最も少ない案を選択した。「質と量の両方が充実した情報を得ることで、より優れた解決策に到達できます」と、オルティス氏。

情報共有が懐疑的な関係者の説得に役立つと語るオルティス氏のチームは、AR と VRを用いたプレゼンテーションを作成することで、異議を唱える人々の不安を和らげた。例えば、支柱がキャンパス入口をふさいで学生を危険にさらすのではないかという大学からの苦情に対し、Consorcio IUYET は VR を使って実際の支柱の位置を示した。「プロジェクト周辺で生活する人からの反対は、プロジェクトの細部を理解できないことが原因の場合もあります」と、オルティス氏。「だからこそ、目に見える形で提示するのです」。

こうした多様で複雑な地域における鉄道建設の安全を、専門知識を持たない一般の人々に伝えるのは難しい。だがオルティス氏は、それが苦であるとは感じていない。彼女にとって最も重要なのは、このプロジェクトによって通勤通学に必要な時間が減り、その時間を睡眠や家族団らんに回せるようになることだ。

「鉄道が通過する幹線道路を毎日運転しているので、日々渋滞を目にしています」と、オルティス氏。「これは現在、メキシコ国内で最大規模のプロジェクトです。他の人々より先に、これから何が起こるのかを知っているのは、とてもうれしいことですね」。

 

#AR - #VR - #クラウド - #ドローン - #ビジュアライゼーション - #リアリティ キャプチャ - #レーザー スキャン - #土木工学 - #構造エンジニアリング
マット・アルダートンはビジネスやデザイン、フード、トラベル、テクノロジーを得意とするシカゴ在住のフリーライター。
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