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巨大なハイブリッド製造機械が押し広げる 3D プリントの限界
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巨大なハイブリッド製造機械が押し広げる 3D プリントの限界

コラボレーションによりヨーロッパで開発された付加製造と切削加工を融合したハイブリッドな製造機械が、大規模な建築コンポーネントを実現します。

by Peter Dorfman
製造 - 2020年5月12日
ハイブリッド 製造 Franck Messmer Johnny van der Zwaag LASIMM project
LASIMM (大規模アディティブ/サブトラクティブ統合型モジュール機械) は金属積層造形と機械加工造形機能を備えた巨大なハイブリッド製造機械 [提供: LASIMM]

玩具サイズの 3D プリンターを Maker Faire で目にするようになった 10 年前には、住宅 1 棟を丸ごとプリントするというアイデアの実現は、ずっと先の話のように思えた。だが 2019 年後半には、施工会社各社が 3D プリントによるコンクリート製小型住宅を集落単位で製造するようになった。3D プリントが、より大きなスケールで機能するようになっているのは確実だが、都市建築や製造業向けの、大規模かつ複雑なコンポーネントを製造することは可能だろうか? 企業、大学、非営利団体で構成されたコンソーシアムが、それを証明しようとしている。

業界における商用の積層造形は、従来のフライスや鋳造、研磨加工では実現困難なものやコストの高い複雑な形状の製品、とりわけ急ぎで少量だけ必要とされるものに重点が置かれてきた。こうした製品は、通常はかなり小さなモノだ。だがグローバルに活動する建築/アーバニズム/デザイン事務所 Foster + Partners は、トラス構造用の全長 5 m の鉄骨のデザインとプランニングで、積層造形における規模の限界を打ち破ろうとしている。

ハイブリック 製造 クローズアップ 切削機械加工 lasimm
切削機械加工用の特殊加工ロボットのクローズアップ [提供: LASIMM]

このプロジェクトは、LASIMM (Large-scale Additive Subtractive Integrated Modular Machine: 大規模アディティブ/サブトラクティブ統合型モジュール機械) の極めて重要な概念実証となった。LASIMM とは、金属の積層と切削の機能を備えた巨大なハイブリッド製造機械で、開発者によると、このシステムにより製造時間とコストは 20% 削減され、アディティブ マニュファクチャリングの大量生産性は 15% 向上すると予測されている。

EU の Horizon 2020 研究革新プログラムの資金援助を得ている LASIMM は、最大径 2 m、全長 6 m、重量 2,000 kg までの金属製建築部材と構造物を 3D プリントできるようデザインされている。Foster + Partners は LASIMM プロジェクトに参加するパートナー企業 10 社のひとつであり、オートデスクがリード ソフトウェア プロバイダーを務めている。

航空宇宙関連企業の BAE システムズとデンマークの風力発電機メーカー VESTASは LASIMM プロジェクト スタート時からのパートナーで、2019 年のパイロット プログラムにおける実演デモ用製品の製造で Foster + Partners に加わった。Foster + Partners の目標は、未来の建物に組み込むための技術の可能性を示す、構造スチール製のカンチレバー トラス (片持ち梁) の製造だった。

Foster + Partners の Specialist Modeling Group デザイン エンジニア、ジョッシュ・メイソン氏は「Foster + Partners はこれまでも、建造物に使用される材料科学を前進させ、デザインの空間や性能特性の最も純粋な要件を理解する研究に投資してきました」と話す。

「構造上の体積を、より大きくコントロールする可能性を模索しています」と、メイソン氏。「通常は I 形鋼や鋼板を扱いますが、その組み立てや切断、溶接には大変な労力が必要です。3D プリントにより形状をコントロールできれば、照明やダクト、エアフロー、伝熱、音響を、その部材の構造内に直接組み込むことができます」。

デザイナー陣は、トラスの構造上の仕組みを示し、デザインにおける応力の流線を可視化したいと考えた。Foster + Partners アソシエートのサミュエル・ウィルキンソン氏は「このトラスの上下の縁は先端に向かって徐々に細くなっており、その間にある梁は応力の流線に基づいて設計されています」と話す。「トラス内部の部材のレイアウトで、梁内部の張力と圧力をビジュアライズできます」。

ハイブリック 製造 切削機械加工 lasimm messmer van der zwaag
巨大な機械の横に立つ、LASIMM プロジェクト研究革新プロジェクト マネージャーのジョニー・ファン・デア・ズワーグ氏 (左) とLASIMM プロジェクト シニア リサーチ マネージャーのフランク・メスマー氏 [提供: LASIMM]

LASIMM は、スペイン・パンプローナのプロジェクト パートナーでロボット工学関連企業、Loxin の施設に設置されている。この機械は、産業用ロボットアームと特殊フライス加工ロボットを組み合わせたモジュラー構造となっており、アディティブ マニュファクチャリング、機械加工 (切削作業)、計量、検査を実行できる。

このカンチレバーの積層構造プロセスは、鋼板にコンポーネントを層状に溶接することからスタート。チームはジェネレーティブ デザインのワークフローを活用し、拘束条件のセットをデザインの自動生成へと発展させた。梁の制約はかなりシンプルで、長さ 5 m、幅 500 mm、奥行き 120 mm、末端に向かって先細りになる形状 (50 mm) で、先端の点荷重は 500 kg だ。

チームが異なるサイズ (5 m から 2 m の間でさまざまな選択肢がある) の梁を検証することで、多様なサイズでの使用可能性が示された。ジェネレーティブなワークフローは、そのデザインを別の形状やサイズにも適用させた。「内部構造や梁の奥行きには改善の余地がありました」と、メーソン氏。「ですが、社内研究で、面外座屈が主な構造上の制約となることが明らかになりました」。

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LASIMM はマシンの全系統を 1 台のマシン内で制御できるよう、 単体のソフトウェア プログラムと統合されている [提供: LASIMM]

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LASIMM プロジェクトには 10 社が参加しており、オートデスクはリード ソフトウェア プロバイダーを務めている [提供: LASIMM]

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複数の産業用ロボットを使用したモジュール式のセットアップになっており、さまざまな部品を作成するよう再構成が可能 [提供: LASIMM]

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この機械の機能をより小型で携帯性に優れたサイズで再現可能となるだろう [提供: LASIMM]

座屈は、溶接プロセスによる熱が、金属を放物面のサドルのような形状、ポテトチップスのような形に歪ませた際に生じる。鋼板の熱変形のバランスを取るには、片方の面にプリントしたらひっくり返し、反対側に対象な形をプリントする必要がある。「何度も鋼板をひっくり返して新しい層をプリントします」と、ウィルキンソン氏。「大型の部品で、このプロセスに対称性が必要でした。このように、部品を元の板に相対する方向にすることが、大きな制約のひとつでした」。

材料研究の主な目的は性能の向上だった。「通常は、これほど細部まではデザインできません」と、メーソン氏。ツールの進行する経路を試行錯誤し、表面がどう変化するのかを確認する必要がありました。将来的には、これも指定できるようになるでしょう」。

Foster + Partners チームは、このデザインに関して、比較的慎重な決断を行った。今後のプロジェクトの目標のひとつは、より多くの自由な形状を、より小さな鋼板上にプリントする手法を考案することだ。

中期的な目標は、LASIMM を実際の商業プロジェクトに応用することだ。「繰り返し使用されるコンポーネントを用いるような大型プロジェクトであれば、やはり鋳型を使用した方がコスト効率も高くなります」と、メーソン氏。「でもデザイン面では、唯一無二のものとなる可能性を追求する方が刺激的です。プロジェクトのコストを上げることなく、あらゆる部品をユニークなものにする、それこそが私たちの夢なのです」。

デザイナーたちは LASIMM が他の分野とどのように連携し、他の材料を組み合わせたり、木材、炭素繊維などで製造できるものを融合したりできるかの探求を計画している。「多くのメーカーがさまざまな目的でアディティブな建設を行っており、我々はそれを新しい技法と融合させ、材料をより効率的に使用することに関心を持っています」と、ウィルキンソン氏。「市販の材料を使用したり、型枠を使用してコンクリートを打ったりする場合も、必ず押出される材料の限界に制約を受けます。ある時点で、アディティブなプロセスの方が、コスト効率の優れた手段となるでしょう」。

このテクノロジーは、建築プロジェクトのサプライ チェーンを一変させる可能性も持っている。LASIMM は巨大だが、その機能は、より小型でより携帯性に優れたコンポーネントや構造を使って再現可能だ。

だが、より望ましいシナリオは、ローカル市場にサービスを提供するために、小規模な製造組織のネットワークを世界的に確立することだろう。このアイデアを実用化するには、各組織が品質と再現性の世界基準を満たすことを証明できるような基準を設定する必要がある。こうした認定制度のデザインは、標準化された部品の複製製造の場合には比較的シンプルだ。だが、ジェネレーティブ デザインのアプローチを採用してひとつひとつ異なる部品を製造する場合、認定制度の制定はずっと複雑になる。「ジェネレーティブ プロセスが認定可能な部品のみを製造するような、新しい制約を導入することになるでしょう」。

#アディティブ マニュファクチャリング - #ジェネレーティブデザイン - #材料 - #構造エンジニアリング - #製品開発
ピーター・ドーフマンはインディアナ州ブルーミントンをベースとするフリーランス・ライター、ブロガー、コンサルタント。
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