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建材のリサイクルを重視したサーキュラリティの実現に BIM を活用
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建材のリサイクルを重視したサーキュラリティの実現に BIM を活用

建材のリサイクルは、非常に時間のかかる手作業のプロセスになっています。スウェーデンの White Arkitekter は、それを ReCapture サービスを提供することによって大きく変え、サーキュラリティを実現しようとしています。

by Mark de Wolf
建設 - 2021年5月11日
Recycling building materials
White Arkitekter によるドイツの Heinzelmann Areal プロジェクトのレンダリング画像。同社の新サービス ReCapture は材料の再利用可能性を評価するためにプロジェクトに使用された [提供: White Arkitekter]

リサイクルは、既に当たり前のことになった。ごみを焼却や埋め立てでまとめて処分することは、いまや時代に逆行しており、多くの人が無駄だと考えている。だが、こうした分別の原則を家庭から重工業への拡大は、実現が困難なままだ。スウェーデンの White Arkitekter は、この状況を ReCapture サービスで変えようとしている。

建材のリサイクルは、大きく前進を遂げている。いまや鋼は、地球上で最もリサイクルされている材料となった。建物全体も再利用できるという認知の高まりつつある。建設業界がサーキュラリティを目指す長く困難な旅が、BIM テクノロジーの応用により大きく進展すると期待されているのだ。

だが、業界ではサーキュラー エコノミーの利点に関する、矛盾を抱えた議論も頻繁に耳にする。一方で建築家や建設会社は、環境への配慮の熱意を実践的な成果に変えることに苦戦を強いられることが多い。

建材 リサイクル White Arkitekter ReCapture サービス
スウェーデン企業 White Arkitekter の ReCapture サービスは、現在ストックホルム中心部の Bromma Sjukhus 病院など数プロジェクトで活用されている [提供: White Arkitekter]

再利用をより処理しやすく

多くの建設プロジェクトで、既存の建物を (とりわけ元の構造物が歴史遺産としての価値を持つ場合には) 最新の業務や暮らしへ適したものへと転換させることが目標になっている。だが建物の再利用可能性の評価プロセスは、手作業では時間がかかる。

建物のサイズと複雑性を考慮すれば、その構成要素と材料の全てをキャプチャし、どれが再利用可能かを判断するのが大仕事となるのは明確だ。梁からボルトまで、あらゆるもののリスト化と計量は、ほんの手始めにすぎない。各部品を評価し、それが再利用可能なのか、それとも毒性や二酸化炭素排出量の問題から廃棄が最良の選択となるのかを判断する必要がある。

データが利用可能となっても、それをプロジェクト関係者全員と共有することが課題となる。このプロセスは、複数のプロジェクト関係者と大量の文書、そして幾度にも渡るミーティングを伴うからだ。さらにアナログの要素もある。もちろん計測にはレーザー スキャナーが用いられることが多いが、その記録には未だにペンと紙が日常的に使用されている。それは後にスプレッドシートへ入力され、場合によっては写真が添付されることもある。

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Bromma Sjukhus 病院プロジェクトの屋外テラスのレンダリング画像 [提供: White Arkitekter]

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Bromma Sjukhus 病院内部のレンダリング画像。病院の 1971 年の構造物を改装する 35,000 平米に及ぶ改修プロジェクトだ [提供: White Arkitekter]

標準化されていないことで、物事はさらに複雑化する。測定の手法も建築家、エンジニア、コンサルタントで異なる可能性がある。戸口や正面の角度を個別に検討する際、横断線同士を比較する人はどれだけいるだろう。これらは小さな問題に思えるかもしれないが、その積み重なによってプロジェクトのワークフローが台無しになり、サーキュラー エコノミーへの移行に建設が貢献することが、より実現困難なものとなる。

建設業界は、控えめな見積もりでも地球の天然資源採取の 30% を占め、世界の固形廃棄物の 25% を生成している。英国グリーンビルディング協会 (UK Green Building Council) の年次調査 Circular Economic Research Survey は、今後 30 年間に地球上の資源採取は 3 倍になると示唆している。業界が活動手法を変えなければ、廃棄物の産出量は 2100 年までに 3 倍になるのだ。

建材の価格は上昇しているが、リサイクルは大きな金銭的利益をもたらす。サーキュラリティの原則を導入することで、ヨーロッパだけでも 2030 年までに年間 200 兆円以上に相当する膨大なコスト削減とビジネス機会、業務改善につながる。

こちらもオススメ: 業界を超えたデータ共有によって生み出される共通ツールセット

再利用、再利用、ReCapture

White Arkitekter はこうした複雑性をすべて断ち切り、業界が環境上、業務上の両方の利点を獲得できるよう支援することを目指す。このスウェーデン企業はヨーロッパを代表する建設会社であり、2030 年までに自社の全プロジェクトをカーボン ニュートラルにするビジョンを掲げている。

その実現にはサステナビリティが最重要だ。同社は先日完成したスウェーデン・ヨーテボリ市庁舎兼文化センター、Selma Lagerlöf Cente で、インテリア デザインの 92% に再利用した家具や材料を取り入れることに成功。このプロセスにより 1 億円以上が節約でき、新しい材料を使用した場合と比較して 70% 近くのコスト減となった。

同社の新サービス White ReCapture は、レンガや扉から天井、ファサード、耐力壁まで、建造された構造物の全構成部材をキャプチャしてカタログ化する、データドリブンなソリューションを提供する。このサービスは、建物の再利用可能性の評価に伴う頭痛を最小限に抑えるものだ。

レーザー スキャンと BIM データ管理ツールを活用することで、建材目録をデジタル化して 3D モデルを作成。これはその後、建設・運用データを注入したデジタル ツインの開発に役立てることができる。この情報はソフトウェアで分析され、判断できるプロフェッショナルの協力を受けて、どの建材が再利用に適しているかが特定される。

リサイクル 建材
レーザー スキャンと BIM データ管理ツールがデジタル ツイン作成のプロセスを支援する [提供: White Arkitekter]

このモデルには、重量や寸法からコスト、現場での位置、再利用可能性に至るまで、材料と部材に関連する全情報が含まれる。一方、デジタル ツインはプロジェクトのデザイン、建設、性能に関して作成された全データをひとつにまとめたもので、建築家やエンジニア、ゼネコン、コンサルタント、クライアントが必要な場合に利用・アクセスでき、詳細な情報を得て判断を下すことが可能になる。

環境専門家で ReCapture ユニット統括を務めるニクラス・エリクソン氏は「クライアントに図面で示す場合には、それが実際にはどのような姿なのかを理解するのが難しいことがあります」と話す。「このサービスにより、弊社はプロジェクトの初期段階でクライアントにさまざまな意見を提示し、プロジェクトがどう機能するのかをより簡単に理解できる共通基盤を生み出します」。

「これまでは、実際の現場で確認してもらわない限り、こうした情報をクライアントに届けることはほぼ不可能でした」と、氏は続ける。「今ではデジタル モデルを使用して評価し、共有することができます」。

これはクライアントに大きな変革をもたらすものになる、とエリクソン氏は話す。材料調達の最適なアプローチへの同意を確保する上で極めて重要な段階であるプロジェクト開始時に、再利用に関する決定を行うのに役立つからだ。

White Arkitekter の新サービスでは、プロジェクト ライフサイクル全体にわたる連携を容易にするべく Autodesk BIM 360、Revit、ReCap が活用されており、環境コンサルタントからの情報をモデルに取り入れることも可能。この情報により、クライアントは材料の毒性や CO2 排出量などの要素を素早く簡単に評価できる。

LEED、BREEAM、GreenBuilding、Miljöbyggnad などのグリーンビルディング評価システムは、プロジェクト ライフサイクル全体にわたって統合的、継続的に適用される。

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White Arkiteter の新サービスは Autodesk BIM 360、Revit、 ReCap を活用している [提供: White Arkitekter]

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デジタル ツインは BIM モデルに保存され、建築家、エンジニア、ゼネコン、コンサルタント、クライアントがアクセスできるようになっている [提供: White Arkitekter]

実際の再利用状況

現在、White Arkitekter の ReCapture サービスは、ストックホルム中心部の Bromma Sjukhus 病院など数件で使用されている。この病院プロジェクトは、1971 年の構造物を新しい手術施設、高齢者医療専用ユニット、高齢者向け住宅、ショップやカフェなどのサービスを擁するよう改装する、35,000 平米に及ぶ改修プロジェクトだ。

Bromma Sjukhus プロジェクト アーキテクトのビヨルン・ヨハンソン氏は「既存の建物とその部材をできるだけ大規模に再利用するというのが目標です」と話す。「このサービスを使用することで、リサイクルをデザイン プロセスの不可欠な要素にすることができるようになりました。現在、再利用するもの全てを Revit モデル内に取り込み、各要素をモデル内で新しいデザイン要素へと変換しています」。

White Arkitekter が手がけたドイツの Heinzelmann Areal プロジェクトでは、このサービスを使用して、1800 年代の工場跡地である 1 万平米の現場にあるもの全てがカタログ化された。この 3D モデルは、建築、構造、機械工学、歴史遺産コンサルティング、防火検査の各業種間の緊密な連携を可能にするべく構築されている。

新品に別れを告げ、今後はリサイクル材料で

建設業界は、建物を材料の倉庫として考えるようになりつつある。構造物の耐用年数が終わることで、新しい構造物を育てることが可能となる。

この目標を実現するには、建築家がスマートフォンだけを手に現場を訪れ、素早く簡単に再利用可能な材料を査定可能にするような、実用的なツールが必要だ。ReCapture のような BIM ベースのソリューションは、建設業界がサーキュラー エコノミーを受け入れる上で極めて重要な前進であることを示す試金石となるかもしれない。

プロジェクト開始時から、建築家がより多くの情報を利用可能になれば、材料やコスト、リサイクル可能性、クライアント自身のサステナビリティへのコミットメントなどのサポートを、より明快にクライアントに提供できる。こうして、建設業界は「壊して建てる」ことから、建造環境の「命の循環」をつなぐことへと移行できるのだ。

#クラウド - #レーザー スキャン - #材料 - #資源エネルギー
マーク・ドゥ・ウルフはテクノロジーのストーリーを得意とするフリーランスライター。チューリッヒを拠点とし、ライアソン大学ジャーナリズム学校を卒業。markdewolf.comでコンタクトできます。
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