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危険物を音で通知するスマートな電子白杖Walkyを学生チームが開発
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危険物を音で通知するスマートな電子白杖Walkyを学生チームが開発

従来の白杖が抱える不便さを知った東工大メディア研究会の学生チームが、カメラやセンサーと機械学習による画像認識や自動翻訳の機能を組み合わせた、よりスマートな電子白杖を開発。

by Yasuo Matsunaka
製造 - 2022年6月21日
スマート 電子白杖

東京工業大学 工学部の学生で構成される東工大メディア研究会 (TITAMAS) は、学生向けハックイベントJPHACKSへ参加するにあたり、自分たちの身近で発生している社会問題の解決策を提示しうる課題に取り組もうと考えた。彼らが選んだのは、メンバーの従兄弟が抱える、視覚障がいにまつわる問題だ。

ボルダリングを行うなど、非常に活動的な日々を送る高校生だった従兄弟が直面していたのが、一般的な白杖 (はくじょう) では安心して外を歩けないという問題だった。杖によって感知できる範囲は足元に限定されるため、歩道に乗り上げるように路上駐車しているトラックなど、高い位置にある対象物は避けることが難しく、怖い存在なのだという。

障害物の種類と距離を音声で通知

既に超音波センサーを使って障害物を検知できる「電子白杖」が実用化されているが、地面の凹凸など様々なものに反応し続けてしまう問題があり、結局は不携帯となってしまう傾向があるという。東工大メディア研究会のメンバーが考案した新たな白杖は、急速に進化を遂げている画像認識のテクノロジーを活用することで、進行方向にある障害物の種類と距離を音声で通知する機能を搭載している。

気軽に散歩を楽しめるようWalkyと名付けられたこのデバイスは、シングルボードのコンパクトなコンピューターRasberry Piと超音波センサー、カメラを搭載する、スマートな電子白杖だ。内蔵カメラを使って一定間隔で撮影した静止画像をサーバーへ通信することで、その画像内にトラックや自転車など危険なものが前方にないかを検知している。

開発にはメディア研究会の5人が参加。プロダクトデザイン担当の長沼大樹氏 (情報工学科4年/専攻・学年は取材時)、山﨑健太郎氏 (電気電子工学科3年) に加えて、サーバーや画像認識・翻訳などのAPI管理全般を担当した佐々木俊亮氏 (情報工学科4年)、Rasberry Pi全般とサーバー、通信を担当した岩瀨駿氏 (工学部 電気電子工学科3年)、そしてRasberry Piとセンサーデバイス全般を担当した奥村圭祐氏 (工学部情報工学科3年) と、役割を分担して制作が行われた。

高精度の画像認識を活用

画像認識にはGoogle Computer Vision API (機械学習モデルを利用した画像分析のインターフェース) を利用するが、このテクノロジーでは既に人間以上の精度による認識が実現しているという。画像認識された情報は、テキストに変換されて白杖に戻され、そこで超音波センサーで測定した距離情報と組み合わせられて、最終的には音声で「自転車が3m先にあります」という形で通知が行われる。白杖は地面をスライドさせて凹凸を確認したり、音で周囲に存在を知らせるため地面を叩くようにタッチしたりして使われるので、画像にある程度のブレが起こることは避けられない。だが画像分析そのものの精度が高いため、認識に問題は起きないという。

スマート電子白杖 山﨑健太郎 長沼大樹
開発中のスマート電子白杖Walkyのバージョン2を手にする山﨑健太郎氏 (右) と長沼大樹氏。

「超音波センサーは、例えば目の前を人が通ったりすると距離に誤差が生じる場合もありますが、画像認識はかなり正確で、トラックでないものをトラックだと誤認識するようなことは、ほぼないですね」と、長沼氏。こうして認識されたもののうち、自転車やトラックなど、あらかじめ想定しておいた危険物リストにマッチしたものだけが、スピーカーを使って伝達される。「イヤフォンを使うと、その分だけ聴覚からの情報が奪われることになるので、ユーザーへの通知は、白杖の後方部分にあるスピーカーから音声で行います」と、山﨑氏。屋外でも情報を効果的に伝えられるよう、限定的な方向だけに音声を送り届けるパラメトリックスピーカーを使う工夫もされている。

もちろん、まだ改良すべき点は残されている。例えば現在のシステムでは、危険物を実際に音声で通知するまでに3秒程度の遅れがある。「画像の認識後、その情報が英語のテキストで送られてくるため、その翻訳に使っているGoogle TranslateのAPIがボトルネックになっています」と、長沼氏。ただし、超音波センサーとの組み合わせによりって5m程度先にあるものを高い精度で通知できるため、実用的な範囲に収まっているという。

このシステムを白杖にマウントする本体のデザインを担当した長沼氏は、CADソフトを使った経験は無かったものの、大学で Fusion 360 のセミナーを聴講したことがあったという。「Walkyのデザインが初めての作品でしたが、ユーザーインターフェースがわかりやすかったので、マニュアルなどを見なくても進めることができました」と、長沼氏。「特に便利だったのが履歴の機能です。こうすれば良かったと後から思い付いたときでも、戻って直せば全部反映されるのが便利。クラウドで共有する機能も使いました。またアセンブリ パーツを動画にすることで、ビデオでわかりやすく訴求することができました」。

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Fusion 360 でデザインされたスマート電子白杖Walkyのケース部分 [提供: 東工大メディア研究会]

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現在開発中のスマート電子白杖Walkyのバージョン2 [提供: 東工大メディア研究会]

JPHACKS 2016の、わずか2日間という限られた開発時間で制作されたWalkyは、Best Idea賞を獲得。また2016年度のMashup Awards (現ヒーローズリーグでも学生部門賞に選出された。その後TV番組で紹介されたこともあり、使ってみたいという申し入れも届いているそうだが、より実用的なものに仕上げるため、目下さまざまな改良を行っているところだ。

そのひとつが、画像認識精度の向上。前述した画像のブレについては加速度センサーを搭載し、加速度 (= 動き) がゼロになった状態で撮影を行うなどの調整が行われているが、今後はカメラを水平に保てるよう、傾きを自動的に補正するジンバルの搭載なども考えているという。スピーカーの取付角度も、さらに聞き取りやすくなるよう改良する予定だ。

将来的には「製品化を行なったり、会社を興したりということより、こういう手法を使えば問題を解決できるということを提示していきたいと思っています」と、山﨑氏。「まずは従兄弟に、安心して実際に使ってもらえるような完成度に仕上げたいですね」。

本記事は2017年4月に掲載された原稿をアップデートしたものです。

#IoT - #クラウド - #プロダクト デザイン - #メイカー - #教育
著者: オートデスクの International Content Manager for APAC & Japan、Redshift 日本版エディター。
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